【入門編】サスペンススリラー映画はこれを見るべし!10作品

サスペンススリラーとは、極端な残酷描写や心霊的現象などが絡まずとも、スリリングでハラハラさせる展開を持った作品のこと。

ツイストにあふれた展開や、意外な結末、そして人間の恐るべき本性といった要素に惹かれるこのジャンル。恐ろしくも引き込まれる、没入感いっぱいの体験をしてみませんか?

入門編として特にオススメの10作品を、ご案内します。

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No.1「サイコ」(1960年)
★★★★★

【ストーリー】
不動産屋に勤めるマリオンは、4万ドルという大金を横領して逃避行をしようとする。その道中に立ち寄ったモーテルで、世にも恐ろしい体験が待ち受けているとも知らずに・・・。

【みどころ】
サスペンスの神様:ヒッチコック監督作の中でも最高傑作と言われる、サイコサスペンスの原点です。

60年前の作品にして、人間の「異常人格」というものに着目し、最高級の恐怖演出をもって、最後まで気味悪く引っ張り続ける引っ張る手腕はさすがの一言。作品を構成する要素はどれも完璧なレベルとしか言いようがありません。

・有名なシャワー室のシーン
・バイオリンを活用した殺人シーンの恐ろしい音楽
・センス溢れるタイトルバック
・不気味すぎるモーテルのロケーション
・いまなお衝撃のラスト

こうした部分の演出は、現代のあらゆるスリラー映画に影響を与えた技法に満ち溢れていて、圧倒されるばかり。作品の主演2人の芝居も見応え抜群です。

恐怖を必死に押し殺したように毅然と対応するジャネット・リーと、徐々に偏執さを強めてゆくアンソニー・パーキンス。特にアンソニー・パーキンスはこの作品の芝居が強烈すぎて、その後なかなかマトモな役が来なくなってしまったという凄まじさ。2人が話をする、剥製された鳥が飾られた応接間のシーンなどの緊迫感は本当に素晴らしいです。

殺人シーンを始めとして「ここぞ!」という場面で凄まじいカメラワークを見せるヒッチコックの演出は、まさにサスペンスの神様の面目躍如。もはや古典と言える映画ですが、今だからこそ再見されてほしい、最高の恐怖映画だと思います。

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No.2「激突!」(1971年)
★★★★★

【ストーリー】
セールスマンの冴えない中年男が、荒野のハイウェイで大型タンクローリーを追い越す。だがその直後から、想像を絶するアオリ運転の恐怖が襲いかかる。逃げても逃げても追ってくるタンクローリーの恐怖。助けてくれぇ。

【みどころ】
なんとスティーブン・スピルバーグ監督のデビュー作です。この映画は本来、テレビ用2時間ドラマとして作られた作品。スピルバーグは24歳の時にこの作品を完成させましたが、あまりの出来の良さに口コミが広がり、映画館で公開されることになりました。その後「ジョーズ」の監督に抜擢されて世界的な監督となり、現在に到るまで映画界のトップに君臨しています。

「E.T」「インディー・ジョーンズ」「レディ・プレイヤー1」など娯楽作のイメージが強いスピルバーグですが、この人のルーツは実はサスペンススリラー。絶妙な緊張感の持続と、その爆発というサスペンスをしっかり作れるからこそ、娯楽作を的確に盛り上げることができている・・・本作を見ると、既に完璧な形でテンポ感をコントロールしていることが分かります。

神がかり的に才能がある人というのは、やはり若い頃から凄いもので、それは本作を見た人なら皆感じるのではないでしょうか。なにせあらすじはたったの一行。
「タンクローリーを追い越した中年男が徹底的に追いかけられる」
それだけの内容にも関わらず、的確に見せ場やサプライズを配置し、主人公の成長という人間ドラマまで加えながら、結末まで一気に魅せてしまう。
ただの追いかけっこの中に、巧みな演出を織り交ぜながら映画に豊かさを出して、観客を飽きさせない。まさに映画監督に求められる最高の仕事をしているのが本作です。

タンクローリーの運転手の顔がなかなか見えない恐怖。逃げ込んだダイナーの中で疑心暗鬼になる主人公。意表を突いてやってくる強烈な襲撃・・・まさに引き込まれる名シーンの嵐ですが、特に凄いのは終盤。

限界に達して白煙をあげる車と、迫り来るタンクローリー、主人公の「頂上はまだか!!」の絶叫。ダイナミックなカメラアングルと音楽、編集によって積み上げられるシーンは必見です。ちなみに私は小学6年生の時にこの作品を観て、映画に関わる仕事を目指すようになりました・・・。

映画はストーリーではなく、むしろ映像と演出こそが大切なものである。そんなことに気づかされる本作。アオリ運転が社会問題化している今の日本だからこそ、注目されてほしい作品でもあります。

圧巻。

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No.3「ミザリー」(1990年)
★★★★★

【ストーリー】
人気作家が、クレイジーな熱狂的女性ファンに監禁され、自分の思った通りの物語を書くように強制される話。

【みどころ】
まさにサイコサスペンスの金字塔でしょう。
原作者:スティーブン・キングが自身も味わった恐怖を基に執筆した本作は、幽霊よりも何よりも「いかれた人間が一番怖い」ということを教えてくれます。最初はいい人そうに見えるこの中年女が、一気に豹変する前半のシーンはまさに戦慄そのもの。また主人公が交通事故で重傷を負っており「家から脱出できない」というのがミソで、身動きが取れないまま狂気に蹂躙されてゆくさまは恐ろしいの一言です・・・。

本作が素晴らしいのは、その恐怖演出のクオリティもさることながら、この中年女を「ただ凶暴なだけのサイコパス」と描いていない点にあります。出来上がった小説が面白ければ喜び、小説家への恋愛感情すら募らせてゆく。それでも、自分の意にそぐわない時は突然ブチキレ、凶悪性を噴出させる・・・そんな1秒先はどうなっているか分からない恐ろしさが、この作品を一層豊かにしています。

圧倒的な狂気を抱えながら、人間が持っている明暗さまざまな素顔を見事に表現したキャシー・ベイツの演技は神がかり的で、なんとこの年のアカデミー主演女優賞を獲得してしまいました。サイコ系の役の演者が、アカデミー賞の役者賞を獲得したのはこれが初めてではないでしょうか。

やがて生き延びるために作戦を練り始める主人公。あの有名なハンマーアタック!!(うう・・・)を初めとして、一時的に部屋から脱出して中年女の部屋に忍び込むくだり、クライマックスの攻防など、スリリングな名シーンにこと欠かない本作。まさにイチオシのスリラーです。

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No.4「羊たちの沈黙」(1991年)
★★★★☆

【ストーリー】
若い女性を殺害しその皮を剥ぐという猟奇事件が続発。捜査に行きづまったFBIは、元精神科医の殺人鬼ハンニバル・レクターに捜査協力を求める。任命された若き捜査官:クラリスは、獄中のレクターに接触するが・・・。

【みどころ】
恐怖映画が賞に縁がなかった時代において、アカデミー主要5部門を全て制覇してしまった、伝説のサイコサスペンス映画です。この作品の影響でサイコホラー系の作品は増えましたし、実際の犯罪捜査にもプロファイリングが積極的に導入されるなど、後世に大きく影響を与えた映画です。

「猟奇殺人犯とFBIとの対決」というのがサブプロットにすぎず、メインは「事件解決のために、本当にヤバい殺人鬼と接触する」ということにあるのがこの作品のミソで、このプロットの半歩先に行っている感じがまず素晴らしいです。
その後も意表を突く展開が、素晴らしい演出によって表現され、最後の最後まで観客を惹きつける、圧倒的な求心力を持って展開してゆきます。

何よりも凄いのは、主演の二人・・・ジョディ・フォスターとアンソニー・ホプキンスの演技対決でしょう。もうこの2人以外の役者はあり得ないというほどのハマり方。相手の心理やバックグラウンド迄を的確に言い当て、混乱させてゆくレクター博士の恐ろしさ。そこに真摯に立ち向かおうとするクラリス捜査官の眼差し。その迫力には圧倒されるばかりで、「人を食べる」という異常な殺人鬼でありながら礼節をわきまえ、超ハイレベルな分析を進めてゆくレクター博士の魅力に吸い込まれていくようです。

残酷なテーマのサイコサスペンスでありながら、まるで一流のフルコースを食べさせられているような錯覚に陥る本作。「猟奇性」「風格」という、相容れないものをマッチングさせてしまった、唯一無二的な傑作であることは間違いありません。

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No.5「セブン」(1995年)
★★★★☆

【ストーリー】
キリスト教の“七つの大罪”になぞらえた奇怪な連続猟奇殺人事件が発生。二人の刑事がコンビで事件を追うが、そこには衝撃の真相が隠されていた。

【みどころ】
現代のハリウッド屈指の鬼才監督:デヴィッド・フィンチャーの出世作であり、猟奇系サイコサスペンスの金字塔です。

まず凄いのはこの作品にピンと統一された、ダークで猟奇的なトーン。陰影を強調した映像、独特な美術、常に雨が降っている絶望的に暗い街・・・まさに完璧主義監督ならではの、完成された世界観がここにあります。

そこにガッツリ肉付けされた、意外性に溢れたシナリオも非常に魅力的です。次々と発見される、残酷極まりない方法で殺された死体。中盤に遭遇する犯人とその追跡劇。そして・・・この作品をスターダムに押し上げた、まさに衝撃のラスト。壮絶極まりない人間の葛藤に間違いなく圧倒されます。

もちろん、ブラッド・ピットとモーガン・フリーマンという2大スターの共演も素晴らしいです。熱くなりがちなブラピと、どんな事にも動じずに冷静に対処してゆくモーガン。この2人の刑事のバランスはまさに名コンビそのもので、その結末に胸が震えます。キーパーソンで登場するケヴィン・スペイシーの凄味は…もう言葉にできません。

陰惨な死体や、悲惨な展開も数多くあり、決して気軽に手を出してはならない作品。しかし、映画史にその名を刻む傑作であることは間違いありません。
2人の刑事が辿り着いた衝撃の結末とは・・・。
ぜひ覚悟を決めてご覧ください。

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No.6「隣人は静かに笑う」(1998年)
★★★★★

【ストーリー】
大学でテロリズムの歴史を教えているマイケルは、隣に引っ越してきたラング家と仲良くなる。しかし些細なことをきっかけとして、マイケルは疑念に囚われ始める。隣人は実はテロリストで、政府の建物の爆破を計画しているのでは・・・?

【みどころ】
「あなたの常識を超える衝撃のラスト!」
「見たこともないような驚愕のどんでん返し!」

こうしたキャッチコピーの映画は巷にあふれていますが、果たして本作ほどショッキングな作品がこの世にあるでしょうか。そう、観た者全員をなぎ倒す、想像を絶する大どんでん返し、まさにそれそのものが本作にあります。

そのプロットの完成度は驚愕するレベルで、正直「羊たちの沈黙」「セブン」を凌ぐほどだと思いますが、その2作品ほどの評価を受けていないのは、名画らしい重厚さに欠けるからでしょうか。しかし、私は間違いなくサスペンス映画史に残るべき超傑作だと思います。

MV出身の監督:マーク・ペリントンの演出は一級品で、どんどん加速度的にギアを上げてゆく物語を、スピーディな映像表現と編集で表現していて、恐怖を盛り上げます。どんどん疑いを募らせてゆくジェフ・ブリッジスの熱演と、恐怖の隣人を見事に演じきったティム・ロビンスの冷たい演技も言うことなし。やはり2大名優を配置すると作品が安定するものです。が、それすらも凌駕するのが、隣人の奥さんを演じたジョーン・キューザックの恐ろしい笑顔。怖すぎて言葉が出ません・・・。

私は中学生の時にこれを観て、あまりの衝撃に人間不信になりかけました。
まさにサスペンスサスペンスした緊迫感を味わえる本格スリラー。
ぜひご覧ください。

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「衝撃の大どんでん返し」はやはりサスペンス映画の大きな魅力の一つ。
他にも「告発の行方」(’96)「メメント」(’01)「アイデンティティー」(’03)「ライフ・オブ・デビッドゲイル」(’03)「ゴーン・ガール」(’14)「ゲット・アウト」(’17)など、語りたかった作品は数多くあるので、次の機会に紹介したいと思います。
あと「ユージュアル・サスペクツ」(’95)という映画がありますが、私はあのネタ、結構早めに気づいてしまったんですよね・・・。
忘れてはならない「シックス・センス」(’99)はホラー映画枠で…!

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No.7「es」(2001年)
★★★★☆

【ストーリー】
スタンフォード大学心理学部である心理実験が行われた。それは、20名ほどの被験者を集めて「看守役」と「囚人役」に分け、模擬刑務所に収容するというもの。初めはそれぞれの役を演じるだけの簡単なアルバイトのはずだった。しかし進むうち、実験は徐々に制御不能な状態に陥ってゆく・・・。

【みどころ】
「サイコ」というのは人間の精神異常を表す言葉ですが、まさにそんな人間が本能的に持つ恐ろしさ・凶暴性を完膚無きまでに描ききった、極限のサスペンススリラーが本作です。

看守と囚人。それぞれの役割を演じるだけの簡単な実験。しかし実験が進むうち「看守役」の攻撃的な振る舞いはどんどんエスカレートしてゆく。それに対して「囚人役」は服従するのみで、まったく抗議できなくなってゆく。やがて刑務所内は単なる実験の枠組みを越えて、血を血で洗う争いに発展し、取り返しのできない事態へともつれ込む・・・。

実際にスタンフォード大学で1973年に行われた心理実験の内容を脚色し、その人間心理の変貌に焦点をあてた脚本は見事の一言。特に後半のジェットコースター的なシナリオ展開は凄まじく、何度も絶句するほどです。

本作はドイツ映画なのですが、その硬いドイツ語の雰囲気や、融通の効かなさそうな人間性の雰囲気も相まって、ハリウッド映画には出せない独特の冷たさ・緊迫感が漲っており、このあたりも見応えがあります。

幽霊や超常現象を出さずに、人間が本質的に持つ凶暴性だけで、ここまで恐ろしい映画を作れるものか。
その完成度に驚愕せずにはいられない大傑作です。

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No.8「エスター」(2009年)
★★★★☆

【ストーリー】
里子として、孤児院からとある平和な家族のもとへやってきたエスター。
しかしそれによって、家族の日常は少しずつ崩壊してゆく・・・。

【みどころ】
「とある平和な家族が、ある日突然やってきたサイコパスによって崩壊させられてゆく話」という名作サスペンス映画は色々あって「危険な情事」(’87)「ゆりかごを揺らす手」(’91)「危険な遊び」(’92) あたりはまさしく大傑作だと思いますが、本作を観たときの衝撃はそれらをも凌駕するほどでした。

私はそのクオリティの高さに絶句したのち、思いました。

「あ、本作はそのジャンルの完成系なのだ・・・」と。

不穏な導入、戦慄の演技、背筋の凍る展開、驚愕の真相、そして怒涛の終盤・・・とにかく本作には、サイコスリラーとしてのあらゆる魅力が完璧に詰め込まれています。

ゴシックでダークな雰囲気を統一しながら、見せ場を矢継ぎ早に配置して、観客を圧倒してゆく監督:ジャウム・コレット・セラの手腕は天才的で、スピルバーグ的な遺伝子を持った最高のエンタメ監督だと思います。

お母さん役:ヴェラ・ファーミガの熱演は人類最高レベルですし、なによりエスター役:イザベラ・ファーマンの不気味さが圧倒的に素晴らしすぎます。こんな子役をどこで見つけてきたのか不思議です。この後グレてないことを祈るばかりです・・・。

後半のジェットコースター感、畳み掛ける見せ場の連続はまさに圧巻で、ハラハラが止まりません。ここまでやるか、と戦慄させられるほどの攻めの演出。さらにそこに、想像を絶する驚愕のどんでん返し的要素まで加わるわけですから、もう文句のつけようがないわけです。

サイコスリラーの一つの金字塔。ぜひこの恐怖を味わってみてください。

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No.9「ブラック・スワン」(2010年)
★★★★☆

【ストーリー】
内気なバレリーナが、大舞台での主役に抜擢されたプレッシャーから妄想にとらわれ、少しずつ心のバランスを崩してゆく。果たして彼女は無事に公演を終えることができるのか・・・?

【みどころ】
これも凄い映画です。
対他者ではなく、自己との戦いに圧し潰され、徐々に精神を病んでゆく心理スリラーとして、極限の完成度に達している大傑作です。

有名バレエ団で「白鳥の湖」を公演することに。主役に抜擢された内気なバレリーナは純真無垢で、気品あふれる白鳥は心配ないものの、狡猾で官能的な黒鳥を演じることに不安があった・・・。

この精神的葛藤を軸に、セクハラが過ぎる芸術監督、娘を束縛したがる毒親、嫉妬に燃えるライバルのバレリーナ、という3者を配置して展開されるストーリーはスリリングの一言。

監督のダーレン・アロノフスキーは、円周率のことを考えすぎて精神崩壊する男を描いた「π」(’97)、覚せい剤に溺れてゆく人々の恐怖を描いた「レクイエム・フォー・ドリーム」(’00)など、このジャンルの作品を撮り続けていた天才監督ですが、その演出力が至高の完成度まで達したのが本作でしょう。次々と襲いかかる恐怖描写。妄想か現実かわからない映像演出などが観客の心を掴んで離しません。

主演のナタリー・ポートマンも、本作まではどうしても「レオン」とスターウォーズ新シリーズの可愛い人、という印象が抜けませんでしたが、本作で官能的や狂気的な部分をしっかりと演じきり、完全な代表作として認知されました(アカデミー主演女優賞を受賞)。

全編気の抜けない凄い作品ですが、特に素晴らしいのはラスト15分の「白鳥の湖」の公演シーン。チャイコフスキーの名曲と相まって、とてつもないテンションと感情が観客に振りそそぎます。

あのラストシーンに貴方は何を感じるか・・・
ぜひご覧になっていただきたい一本です。

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No.10「search」(2018年)
★★★★☆

【ストーリー】
ある日、16歳の娘が突然姿を消してしまう。父親は行方不明になった娘の生存を信じ、捜索するために、パソコンで娘のInstergramなどのSNSにログインする。そこで彼が見たのは、自分の知らなかった娘の一面だった・・・。

【みどころ】
信じられないことに、全てがPCの画面内で展開する映画です。初めてこの設定を聞いたとき「え?嘘?」と思いましたが、本当にPCの画面内で始まり、完結します。そして内容的にも、最近のサスペンススリラーの中でも群を抜いた、紛れもない傑作だと思います。

振り返ってみると、この作品の成功理由としてまず挙げられるのは、PC上だけで展開するという着想以前に、失踪モノのサスペンスとしてシナリオが非常によくできている、ということだと思います。二転三転する展開に目を奪われること間違いないですし、驚愕の真相まで全く飽きさせることなく展開してゆきます。

そしてこの強固なシナリオが、PC画面上のみで展開させるという技法によって実に効果的に映像化されてゆきます。
まず冒頭に、この家族のバックグラウンドが、動画やメッセージのやりとりで表現されるんですが、ここでグッと心を掴まれます。この部分はアナ雪の「雪だるまつくろう」のシーンと同じくらいの完成度だと思います。

その後も地図での位置検索、ビデオ通話、ハッシュタグ、ありとあらゆる手段を使って真実に迫ってゆく展開は見事の一言。そして真相にたどり着く最後のキーワードは…まさかの「ストックフォト」。
この着眼点に驚愕せずにはいられません。

何気なく使われる、SNSのメッセージが最後に効いてくるのも素晴らしいですし、まさに「いま」を切り取ったサスペンスの進化系であり、大傑作だと思います。

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入門編サスペンススリラー映画10本、いかがだったでしょうか?
興味のわいた作品があれば、ぜひお時間のある時にチェックしていただけたら嬉しいです。

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