2021年日本公開映画の超・個人的ベスト20位〜11位です!
仕事が忙しく思うように映画館に行けませんでしたが…60本くらいは観賞できたと思います。
今年は邦画のカジュアルな作品が割と強かった印象がありますね。
配信で観る際などの参考にしていただけたら嬉しいです。かなりオススメの10本です。
それではまいりましょう。
————————————————————————————————————————
第20位「悪なき殺人」
とある女性の行方不明事件の真相を、7名の男女の群像劇から解き明かしてゆくサスペンス。シナリオがとにかく秀逸!人間は偶然には勝てないというメッセージ。一つ一つのエピソードはバラバラと見せかけて、実は愛情という究極のテーマで繋がっている素晴らしさ。貧しいアフリカの国にまで殺人の糸が繋がってゆく発想に驚かされる。カチッとハマってゆくパズルのピースが楽しい良作です。
————————————————————————————————————————
第19位「あのこは貴族」
日本に存在する階級社会を、決して露悪的にならずに丁寧な視点で描いた良作。
何かのインタビューで監督が「女2人で格差社会をテーマにした作品では、必ずといっていいほどいがみ合う構造になってしまっている。そんな2人が友情を育む映画があっても良いと思った」というようなことを語っていたが、なるほどと納得させられる。
相手を否定せずに価値観を認め合うことの素晴らしさ。
それでも東京の養分になってゆくしかない人々。
一言では語れないような、味わい深い作品です。
————————————————————————————————————————
第18位「ザ・スイッチ」
凶悪殺人鬼とダメ女子高生の魂が入れ替わるスリラー。とにかくこのシチュエーションで考えられる爆笑ネタをやり尽くした快作!この映画のMVPは内股で少女走りするヴィンス・ヴォーンであろう。もう身振り手振りでここまで笑わせられるのかというほどの面白さ。
人格入れ替わり時のやりすぎなCGも笑えるし、あまりにもスプラッターすぎる過剰な殺人描写(※ただしドン引く人の方が多いだろうが…)、家族愛が組み込まれた物語もgood。
ブラムハウスの底力を感じるハイクオリティエンタメ映画!
————————————————————————————————————————
第17位「空白」
スーパーで万引きした少女が店長に追いかけられ、車道に飛び出したところを車に轢かれて死ぬ。
その事実を知った少女の父親が、スーパーの店長を執拗に詰り続ける話。
行き場の無い感情が交錯する、なかなかの壮絶なヒューマンストーリー。そのシナリオにしっかり向き合った古田新太、松坂桃李の芝居が本当に素晴らしい。周りを取り巻く人々の狡さや優しさも重層的に織り込まれて見応え抜群。
終盤の展開も大きく頷ける良いものなのですが、あくまでも個人的に言わせてもらうと、最後まで吉田監督らしいヒリヒリさ味わいたかった感覚も若干残りました。
—————————————————————————————————————————
第16位「ヤクザと家族 the family」
藤井道人監督入魂のヤクザ映画。人間ドラマの熱さも見応え抜群だが、個人的に一番面白かったのは、日本の司法制度という視点からヤクザの栄枯盛衰を描き出している部分。
いまや反社会性力は徹底的に司法によって抑制され、資産を減らされ、利用する店まで激しく制限されている。それはまるでナチス政権時のユダヤ人のようにも見えるし、信念を持った立派なヤクザから淘汰されてゆくという哀しさを感じる。
そんな中で起こる悲劇。そして3代にわたるヤクザ組織の行く末とは・・・。
藤井監督ならではの容赦ない人間ドラマに圧倒されました。
—————————————————————————————————————————
第15位「茜色に焼かれる」
偶然の尾野真千子2連発。そして本作も名匠・石井裕也監督の良さが充分に出た生々しいヒューマンドラマ。夫を交通事故で失い、コロナ禍で経営していたカフェを失った一人の女が、それでも花屋と風俗で働きながら一人の息子を育てあげようとする話。
社会は、現実はどこまでも悲惨だけど、寄り添ってくれる人がいたら生きて行ける。
シリアス一辺倒にならず、ところどころギャグを挟んでくるフットワークの軽さもある映画。
あぁヒューマンドラマっていいなぁと思える良作。
—————————————————————————————————————————
第14位「マリグナント 狂暴な悪夢」
「ソウ」でどんでん返し映画を、「ワイルドスピード」でアクション映画を極めた天才監督、ジェームズ・ワン。その両軸の良さが遺憾無く発揮された究極のハイブリッドホラー映画が本作である。
物語前半は非常にオーソドックスなホラーで、私は不覚にも寝かけたが、ここで寝てはだめです。
この前半で感じる違和感が全て回収される後半に文字通り「!!!」となります。
それはまさしく映画史に残る怪物造形。映画でこそ活きる着想の素晴らしさ。
ジェットコースター的な後半を存分にお楽しみください。
—————————————————————————————————————————
第13位「まともじゃないのは君も一緒」
成田凌&清原果耶によるヒューマンラブストーリー。
これが掘り出し物でした。
スーパー変人の予備講師:成田凌を生徒の清原果耶がモテ男にプロデュースしようとするが、いつの間にか彼のことが好きになってしまい、暴走して周囲の人間が巻き込まれてゆく・・・という非常にこじんまりした話ながら、シナリオが完璧なまでに作り込まれていてめちゃめちゃ面白いです。
前半の成田凌の変人振りに笑え、だんだん変化してゆく清原果耶のいじらしさに惹かれ、周囲の登場人物も含めみんな実に良いキャラクター。
邦画の良さを詰め込んだような、センスあふれる良作です。
——————–——————————————————————————————————
第12位「老後の資金がありません」
50代の夫婦が、老後の資金不足を憂いて必死に貯金しようとするものの、次々と不慮の事態が発生して逆にお金がなくなってゆく話。邦画ヒューマン系ばかりで恐縮なんですが、この映画もびっくり掘り出し物でした。
この誰もが身近に感じられる物語を、徹底的にコミカルに描いた中盤までがまず素晴らしい。ものすごい物量とテンポ感でギャグのつるべ落としが展開されるわけですが、ここの捌き方が職人技そのもので感服です。で、後半は少しヒューマンよりになっていくわけですが、ここもクサく描きすぎずに程よい塩梅になっていて実に良い。観た後爽やかな気分になれる、ファミリーにオススメの良作です。
—–————–————–————–————–————–————–————–————–———
第11位「ヒノマルソウル」
長野五輪、歓喜のスキージャンプ団体金メダル。その裏側で頑張ったスキージャンパーたちに焦点を当てた物語。
実話スポーツ系感動モノ映画としては、抑えるべきツボを押さえて、文句のつけようのない完璧な映画だと思います。当時小学4年生で授業中だっただった私は、先生が授業を中断してテレビを見せてくれたのですが、手に汗握りながら応援した23年前の記憶まで蘇ってきました。
田中圭、山田裕貴、眞栄田郷敦、小坂菜緒らジャンパーそれぞれの持ったドラマ。そして前回のリベンジを果たそうとする原田(濱津隆之)の熱い想いにも震えます。
幾度によるコロナ禍の延期をモロに食らったこともあり、興行成績は振るわなかったようですが、いろいろな人に見てほしい推しの一本です。
——————–——————————————————————————————————
ベスト10は追って発表!
……とその前に、ベスト20圏外ではあるものの印象に残った作品をいくつかお伝えします。
「ドライブ・マイ・カー」
カンヌ国際映画祭からゴールデングローブ映画祭まで、世界的にも圧倒的な評価を受ける作品。確かに西島秀俊の佇まいは完璧だし、魅了される部分の多くある映画だった。しかしながら「ハッピーアワー」「寝ても覚めても」にあった圧倒的なヒリヒリ感、この世の果てを観ているかのような無常感が凄まじすぎて、個人的には決定的なインパクトはない作品という印象でした。
「モーリタニアン 黒塗りの記憶」
911テロの首謀者の疑惑をかけられ、刑務所に閉じ込められ続けた黒人男性をアメリカ人女性弁護士が救出しようとする話。すごく意義深い映画であり、俳優陣の名演含め、作り込まれた素晴らしい作品です。欲を言えばもう少しカタルシスがあれば……とは思うものの実話映画。
「地獄の花園」
ヤンキー化したOLが戦いまくる!!驚くほど内容の無い映画ですが振り切っていてとても楽しいです。ジャンプ漫画好きなら外さない良作!
「るろうに剣心 最終章 The Final」
すさまじい熱量で作られた良い映画だとは思います。
ただ、1人(2人)vs大勢みたいな殺陣が多すぎて、アクションが何でもありのインフレ状態になっているのが残念。あと、素直に時系列順で公開していればより没入できた気もします。
「そして、バトンは渡された」
観賞直後は感動したし、ベスト20入り確定!という印象だったのですが、よくよく考えるとあまりにも【観客を感動させるための物語】であったような気もしてならない……そもそもこれはいい話なのか? 色々語りたい一本。
「黄龍の村」
阪元監督のアイディアが天才すぎます。この一発アイディアは「サイコ・ゴアマン」と並んで今年のNo.1。アクションも凄い。ぜひ観て笑ってください。
コメント